フジ(藤)の育て方|植物図鑑

植物名
フジ(藤)
学名

Wisteria floribunda(ノダフジ)

Wisteria brachybotrys(ヤマフジ)

英名
Wisteria
和名
科名
マメ科
属名
フジ属
原産地
アジア、北米、ヨーロッパ

フジ(藤)の特徴

フジ(藤)はマメ科の落葉性のつる植物です。春になると薄紫や白の花を咲かせます。庭園や公園で目にする藤棚のイメージが強く、自宅での育て方は難しいように言われていますが、実は鉢植えでも楽しめます。根の生長が制限されることから、むしろ鉢植えの方が花付きがよくなるほどです。

フジ(藤)には大きく分けて2種類あり、ノダフジ(野田藤) Wisteria floribunda はつるが右巻き、ヤマフジ(山藤)Wisteria brachybotrysは左巻きという特徴があります。

「ノダフジ(野田藤)」の由来となった大阪市福島区の野田はフジ(藤)の名所として有名。毎年4月には「のだふじめぐり(ふじ祭り)」が開催されます。樹齢1200年を越え、天然記念物に指定されている埼玉県春日部市の「牛島の藤」もよく知られています。

フジ(藤)の詳細情報

園芸分類 庭木、落葉
草丈・樹高 5~10m
耐寒性 強い
耐暑性 強い
花色 紫、白、ピンク
開花時期 4月~5月頃

フジ(藤)の種類

ノダフジ

本州を中心に自生しています。つるが右巻きの品種です。

ヤマフジ

近畿以西に自生しています。つるが左巻きの品種です。

藤棚が無くても大丈夫

ベランダガーデニングなので藤棚は作れない…と購入をためらっている方も多いはず。ベランダなどの小さなスペースでは鉢植えにして、柵で壁面仕立てにしたり、窓際のスペースに「逆L字形」になるよう誘引するとよいでしょう。根詰まりしやすいので、2~3年1回程度、土を落とさないようにして植え替えます。フジ(藤)は根をいじられることを嫌う植物なので、気を付けてください。

フジ(藤)は女性らしさの象徴

香りが強く、たおやかに咲くフジ(藤)は古来から女性らしさの象徴と考えられてきました。対して厳格で力強い印象の松は男性らしさを表現した樹木とされ、日本画や古典文学ではしばしばフジ(藤)と松がセットで登場します。下村観山の屏風絵『老松白藤』は精緻な描写が見事です。『枕草子』では「めでたきもの」として「色合ひ深く、花房長く咲きたる藤の花、松にかかりたる」と語られています。男性にしなだれかかる女性の姿が目に浮かんでくるようです。

 

フジ(藤)の付く苗字が多い理由

佐藤さん、加藤さん、伊藤さん、斉藤さん…日本人に多い苗字には不思議と「藤」の字が多く付いています。フジ(藤)の花が愛されている証拠なのでしょうか? 実はこれ、平安時代に栄華を極めた藤原氏の影響なのです。藤原氏の一族は全国にひろがり、加賀の国の藤原氏は加藤、伊勢の国の藤原氏は伊藤、と地盤となった国の名を取って家名を変えていきました。明治になって苗字が義務づけられるようになると、名門・藤原氏にあやかろうと、ゆかりの無い人々も「フジ(藤)」の字が入った苗字を名乗るようになったのです。

フジ(藤)の育て方カレンダー

時期 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
植え付け
植え替え
剪定
肥料
開花

フジ(藤)の栽培環境

日当たり・置き場所

フジ(藤)は日当たりの良い場所を好みます。

用土

フジ(藤)は水はけが良く保水性の高い土壌を好みます。鉢植えのフジ(藤)は市販の園芸用培養土で問題なく育ちます。

フジ(藤)の育て方のポイント

水やり

地植えのフジ(藤)は根付いてからは特に水やりの必要はありません。夏期の高温乾燥が続いた時などは午前中に水を与えるようにしましょう。

鉢植えのフジ(藤)は表土が乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与えます。

肥料

フジ(藤)は肥沃な土壌を好みます。植え付け時に腐葉土をたっぷりと漉き込みます。開花前と開花後も緩効性肥料を与えると良いでしょう。

病害虫

ネキリムシの被害に遭うことがあります。カメムシの幼虫が付くこともあります。見つけ次第捕殺します。

フジ(藤)の詳しい育て方

選び方

フジ(藤)の苗は、葉がグリーンで生き生きとしていて、花芽の多いものを選びましょう。落葉期に選ぶ場合は主幹がしっかりとしていて、芽の多いものを選びましょう。

落葉期のフジ(藤)の葉芽と花芽の見分け方は、ふっくらと丸みを帯びた大きな芽は花芽で、細く小さな芽は葉芽です。花芽が多いものを選べば、春にたくさんのフジ(藤)の花を楽しめます。

植え付け

フジ(藤)は根をいじられることを嫌う植物です。後で移植の必要が無いように、植え付けの際は場所を選びましょう。根鉢を崩さないように植え付けることも大切です。

仕立て方

フジ(藤)は5~10mくらいまでつるを伸ばします。放っておくとつるが暴れるので、適宜支柱やフェンス、藤棚に誘引します。特に花が終わった後は生長期です。こまめに誘因を行うことで、希望の樹形に仕立てられます。

剪定・切り戻し

フジ(藤)は7月くらいから翌年の花芽の準備に入ります。フジ(藤)の剪定は花後~6月くらいまでに済ませるようにしましょう。

夏の剪定は暴れ過ぎたつるを整理する程度にします。秋から冬の間に徒長した枝や葉芽、花芽のない分部を整理する程度に剪定します。

植え替え・鉢替え

フジ(藤)は根をいじられることを嫌う植物です。植え替えは春の暖かい日に、根をいじらないように1~2回り程度大きな鉢に植え替えます。いきなり大きな鉢に植え替えると根ばかり生長して花が咲かなくなることがあります。

春、桜が終わった頃からゴールデンウィークくらいまで香りの良い房状の花を咲かせます。

藤色という言葉の由来はフジ(藤)の花色にあるように、青味がかった薄紫色の花を咲かせます。他に、白花やピンク色の花を咲かせる品種もあります。

夏越し

フジ(藤)にとって夏は生長期です。水切れに注意が必要です。表土が乾いたらを目安に、水やりは午前中に済ませるようにしましょう。

冬越し

フジ(藤)は落葉性なので冬は休眠します。特に必要な冬越しの作業はありません。

増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)

フジ(藤)は取り木か挿し木で増やせます。

  • 監修者:LOVEGREEN編集部
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