朝顔(アサガオ)の育て方|植物図鑑
- 植物名
- 朝顔(アサガオ)
- 学名
Ipomoea nil
- 英名
- Morning glory
- 和名
- 朝顔
- 科名
- ヒルガオ科
- 属名
- サツマイモ属
- 原産地
- 中央~熱帯アメリカ
朝顔(アサガオ)の特徴
朝顔は朝に咲くと言いますが、実は夜明け前から花は開いていきます。花の色は青や紫、中にはピンクがかった色や複色などさまざまな品種があります。花の形は円錐形で、ラッパの先端のように開きます。花開いたあとは、内側に籠る様にして閉じていきます。
江戸時代の育種により、朝顔の変異体である「変化朝顔(ヘンカアサガオ)」が誕生しました。つるが伸びない「木立」、細かいひだ状の花弁が細く筒咲の「南天」など、葉や花の形が違う、これが本当に朝顔なの?と疑うほど様々な変化朝顔が栽培されていました。
木立
西洋アサガオ
他に「西洋アサガオ」も8月以降から霜のころまで長く咲き続けるため、とても人気があります。葉は丸葉で、さわやかな空色をした花です。生育がよいため「緑のカーテン」にも適している品種です。
朝顔(アサガオ)の詳細情報
園芸分類 | 草花 |
---|---|
草丈・樹高 | 2~3m(品種による) |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
花色 | 青、紫、白、ピンク、茶色、複色 |
開花時期 | 7月~9月 |
朝顔は古典園芸植物(伝統園芸植物)といわれており、その古典園芸植物の中でも唯一の一年草です。江戸時代に一大ブームを巻き起こした朝顔は、一年草という特徴から他の古典園芸植物よりも多くの品種を作り出しました。愛好家の中で品種を競う「朝顔番付」も関西や関東で盛んに品評会が開催された記録が残っています。
遺伝子の法則も植物の受粉の仕組みも解明されていない中で、朝顔は愛好家たちのもと、特殊な栽培技術で数千種類にも及ぶバリエーションが生み出されました。
こんなにも日本人に愛された朝顔ですが、原産地は日本ではありません。奈良時代に中国からもたらされたといわれる朝顔は、当時は薬草(下剤)として持ち込まれました。そのうちに、花が美しいことから観賞用にも栽培されるようになりました。
現在朝顔の属するヒルガオ科サツマイモ属は、中央から熱帯アメリカが原産地であるといわれています。
日本で栽培されているアジア産の朝顔と、それ以外の朝顔では花芽のできる日長感受性に違いがあり、メキシコ原産の朝顔は夜に咲く品種もあります。
アジア系統の朝顔は冬を過ごさなければならないため、種子を残そうとして日が短くなると花を咲かせる短日性の植物として変化を遂げました。
朝顔(アサガオ)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
種まき | ||||||||||||
植え付け | ||||||||||||
肥料 | ||||||||||||
開花 |
朝顔(アサガオ)の栽培環境
日当たり・置き場所
朝顔は日当たりを好むので、1日中、日が当たる場所に置きます。
温度
朝顔の生育低温は20~25℃位です。気温が十分に上がってきた時期に種をまきましょう。
用土
朝顔は有機物の多い土が一番育ちやすいです。市販された培養土でも可能です。自分で混ぜ合わせるのなら、赤玉土、腐葉土を半々ずつ加え、ひとさじ程度川砂を混ぜれば理想的な用土に仕上がります。
朝顔(アサガオ)の育て方のポイント
水やり
基本的には、朝の涼しい時間帯にたっぷりと水を与えます。真夏の植物なので、水切れを起こさないように注意します。夕方になって、水切れを起しているようなら、涼しくなってから再度水を与えましょう
肥料
追肥を行うタイミングは生長期、開花期に行うとよいでしょう。週一回程度液体肥料を与えれば十分です。花付きが良くなります。
病害虫
葉裏に発生する害虫は沢山いますが、その代表はホコリダニでしょう。葉が縮み、生長しなければこのホコリダニが付着している可能性が高いです。取り除く方法は葉裏に水を掛けると成功することがあります。死滅させたいのであれば市販の薬剤も有効です。
朝顔(アサガオ)の詳しい育て方
選び方
ポットの底から根が見える苗は元気な証拠です。葉は緑色で生き生きとした色のものを選びましょう。葉が黄色いものが多い苗は、弱っている可能性があります。
種まき
1. 1.5cm程の穴をあけます。(人差し指の第一関節より少し短い位)
2.芽切りした部分を上に向けて土に埋めます。
3.朝顔は発芽するために最適な温度というものがあります。そのため、充分暖かくなった5月中旬~6月頃に種をまくとよいでしょう。
朝顔の発芽適温は20~25℃です。霜に当てることは、絶対に避けましょう。
植え付け
本葉が3~4枚になったら鉢に植えつけます。行灯作りの場合は、支柱を用意しましょう。
地植えの朝顔は、つたがまきつけられるようなネットを設置してください。苗を敷き詰めて植えつけるとつた同士が絡まり上手く生長しません。
仕立て方
▶︎切込み作り
子づるを三本に仕立てた方法で、花の色や草姿を美しく咲かせる手法です。
仕立て方
1.本葉が9枚まで生長したら、その9枚目の葉を手で摘み取る。
2.翌日以降の晴れた日に本葉6枚目までを残して摘心します。次に双葉、1枚目、2枚目の子づるを摘み取ります。肥料も施しましょう。
3.3~5枚目から出る子づるが生長してきたら、各子づるの葉の1枚目についた蕾は摘み取り、2枚目と3枚目についた蕾を咲かせます。4枚目以降は摘心しましょう。蕾に栄養を与えるために、リン酸、カリを多く含む肥料を施しましょう。
▶︎数咲き作り
6号鉢に朝顔を植え付け、5輪以上もの花を同時に咲かせる仕立て方です。
仕立て方
1.枚目から出る子づるだけを伸ばします。
2.一番小さい子づるが10cmほどまで生長したら、各子づるの2枚目と3枚目の間で摘心します。肥料も施しましょう。
3.各子づるから孫づるが生長し、孫づるに蕾がついてきたら、蕾を2~3個残し孫づるの先を切ります。つるが放射状になるように、針金などを使用して土に固定しましょう。蕾に栄養を与えるために、リン酸、カリを多く含む肥料を施しましょう。
▶︎行灯作り
鉢植えに植えた朝顔を3本の支柱に巻きつけていく仕立て方です。
本づる仕立て…本づるをそのまま伸ばす。
子づる仕立て…本づるを摘心して子づるを伸ばす。
孫づる仕立て…本づると子づるを摘心して孫づるを伸ばす。
仕立て方
1.本葉が9~10枚まで生長したら、つるの先を摘み取ります。ます本葉6枚目までを残して摘心します。3~5枚目から出る子づるだけを伸ばします。
2.翌日以降の晴れた日に本葉7枚目までを残して摘心します。次に双葉、1枚目、2枚目、7枚目の子づるを摘み取ります。肥料も施しましょう。
3.子づるが10cmくらいまで生長したら、親づるの7枚目の葉を摘み取ります。子づるの中から、太くて蕾のつきが良いものを1本だけ残し、翌日以降の晴れた日にそれ以外の子づるを切り取ります。蕾に栄養を与えるために、リン酸、カリを多く含む肥料を施しましょう。
4.つるが30cmほど伸びたら支柱を3本立て、針金などで輪を3段ほど作りましょう。
5.支柱の1段目の輪に、2/3ほど巻きつけたら、2段目のつるをはわせます。3段目の輪にをつるを少しはわせたらつるを切り取ります。
摘芯(摘心)・摘果
朝顔はつるを伸ばして生長しますが、そのまま伸びていくと「頂芽優勢」といって、植物の頂点の芽の生長がわき芽の生長よりも優先されるため、花数もつるの数も増えなくなり、ボリュームの少ない朝顔になってしまいます。そのため、摘芯することでわき芽や花数を増やします。
朝顔の摘芯方法
1.本葉が10枚ほどになったら、新芽をハサミか爪で切り取ります。
2.その下から出てくるわき芽を3本ほど伸ばしましょう。
3.生長したわき芽から、さらにわき芽が出てきます。摘芯することで花がたくさんつきますが、早い時期に花をつけすぎるとつるの伸びが悪くなります。ある程度つるの生長度合いを見ながら、わき芽の摘芯をしてあげましょう。
植え替え・鉢替え
朝顔は一年草のため、特に植え替えの必要はありません。
花
7月~9月に開花します。ひとつひとつの花は一日花です。
収穫
朝顔の種は黒くて小さな粒です。花が終わり、何もない緑色の蕾だけが残ります。その内側に種が生成され、熟していくのです。採取のタイミングは緑が茶色に変化し、がくが反り返ったころです。内側から黒い種が見えてくる際に中から種を取り出すことができます。
冬越し
朝顔は冬前までの一年草です。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
朝顔は種で増やします。
朝顔(アサガオ)の種は硬実種皮
朝顔の種は「硬実種皮」といって、種皮が硬く水分を種子の内部になかなか浸透させないため、発芽できない性質をもっています。そのため、発芽させるためには「芽切り」といって種に傷をつける処理が必要になります。
ただし、種苗会社で販売されている種には芽切り処理済のものがありますので、種袋をご確認ください。
芽切り作業の後の傷が見えます。
朝顔の種の芽切り方法
1.芽切りをしていない種は、ヤスリを使って芽切りをしましょう。まずは、朝顔の種のへそを見つけましょう。
2.へその裏の部分を芽切りします。
3.ヤスリを使いましょう。
4.へその裏の部分が、白くなるまで削ります。
朝顔(アサガオ)の発芽適温
朝顔は発芽するために最適な温度というものがあります。そのため、充分暖かくなった5月中旬~6月頃に種をまくといよいでしょう。
朝顔の発芽適温は20~25℃です。霜に当てることは、絶対に避けましょう。